あの日も寒かったのでしょうか、今考えても分かりません!ただ、井田病院の皆さんに見送られて病院を後にする時、パラパラと雨が落ちてきました。その時哀しみがこみ上げてきて、とめどなく涙がこぼれ落ちました。
あれから12年、私自身こんなに長生きできるとは思っていなかったのです。そして今「私は生かされている、なすべき事がまだ残っている」そのように思います。毎日を精一杯生きていると、主人が迎えに来てくれて懐かしい人達に逢えるのも楽しみです。その時を待ちつつ明日から又悔い無き日々を過ごします。
なつかしき ざわめきのなか 浅草に
帰らぬ人の 姿さがして
綾子